設立趣意書
特定非営利活動法人地球環境と大気汚染を考える全国市民会議
設 立 趣 旨 書
私たちにとってかけがいのない地球が、いま、人間の社会的な活動によって急速に破壊されつつあります。
大量の化石燃料の燃焼により大気中の濃度が急速に増加している二酸化炭素や、メタンやフロンガスなどの温室効果ガスの増加が、熱帯林などの森林の減少とあいまって、地球温暖化を引き起こしつつあり、このままでは二一世紀の終わりには地球上の平均気温が2~3℃も上昇すると警告されています。地球上の生命を有害な紫外線から守っているオゾン層も、フロンガスにより破壊され、南極や北極だけでなく、成層圏オゾンの減少が世界の多くの地域で観測されています。
自動車や工場から排出される硫黄酸化物、窒素酸化物や粒子状物質などの汚染物質も、地域の大気汚染となって人々の健康を犯しています。こうした汚染物質が、酸性雨となって国境を越えて広がり、森林を枯らし、生物種を絶滅の危機にさらしています。
大気問題だけでなく、ダイオキシン、内分泌撹乱物質(所謂、環境ホルモン)による汚染が広がり、生態系に重大な影響をあたえようとしています。
このような地域と地球規模の環境破壊は、最近数十年の間に起こったことです。その原因の多くは、日本を含む「北」の国々の産業活動に由来するものです。とりわけ日本など「北」の国々の大量生産、大量消費、大量廃棄の社会経済システムが、世界の環境に重大な脅威となっています。
今、地球の発するSOSは、化石燃料に依存した人類の文明のあり方を根底から問いただしています。とりわけ、経済効率一辺倒の社会経済システムを見直すことが必要です。破滅を回避するために、今すぐ、必要な対策を実行に移す必要があります。こうした対策は各国政府や産業界が、これまでこうした環境破壊をしてきた責任からも、率先して行うべきです。しかし一方で、便利さや物質的快適さのみを求めてきた、私たちの生活様式を見直すことも求められており、私たち一人一人の積極的な行動が必要です。情報に精通した活動的な市民の存在なくして、環境問題の解決がないことは、日本の公害経験が示しています。
このままいけば、人類は二一世紀に破滅的な危機を迎えます。今のうちなら、努力すればまだ破滅的な危機を避けられます。私たちは、そのことに確信をもって、世界中の人々と手をつなぎ、地球規模で考え、地域で活動します。このことは、二一世紀以降に生きる将来の世代のため、現在を生きる私たちの責務であると考えます。
地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)は、1988年10月に結成され、地域の大気汚染、国境を越えた大気汚染である酸性雨、地球規模の大気問題である地球温暖化やオゾン層の破壊などの問題に取組むとともに、西淀川公害裁判など大気汚染公害被害者の支援などの活動を行ってきました。また、1992年の地球サミットや、気候変動枠組条約の交渉会議などに参加し、国際的な交流活動を行ってきました。さらに、日本におけるCO2排出削減の提言など、多くの提言を発表してきました。
今回、特定非営利活動促進法が制定されたことに伴い、非営利活動法人としての法人格を取得することにより、これまでのCASAの活動を承継し、CASAに対する社会的評価の向上、財政活動などの活動をより拡充するために、ここに、特定非営利活動法人地球環境と大気汚染を考える全国市民会議を設立します。